9月30日の大阪高裁判断を高く評価する

9月30日、大阪高裁は「首相の参拝による損害賠償」を求めた原告の訴えを退けたものの、判決理由の中で「首相の靖国参拝は公的なので違憲」と判断しました。
首相の靖国参拝 違憲(東京新聞)
この件に関しては、中国新聞に載っている判決理由の要旨から一部引用します。

 2001年8月13日、02年4月21日、03年1月14日の各参拝は(1)公用車を使用し、首相秘書官を伴い、靖国神社で「内閣総理大臣 小泉純一郎」と記帳したことなどの態様(2)各参拝が首相就任前の公約の実行としてなされたこと(3)各参拝前後の首相の発言内容は参拝が私的なものであると明言せず、公的な立場での参拝であることを否定していないこと(4)首相の発言や談話、所感に表れた参拝の主たる動機ないし目的は政治的なものであること−などを総合すると、少なくとも行為の外形において、首相としての「職務を行うについて」なされたと認めるのが相当だ。

 首相も個人としては信教の自由を有するが、首相という公職にある者としては、政教分離原則違反の問題が論議されている中、各参拝が私的行為か公的行為かを公に明確にすべきであり、私的行為であることをあえて明確にせず、あいまいな言動に終始する場合には、公的行為と認定する一つの事情とされてもやむを得ない。

私は、憲法20条第1項の後半「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」にある通り、靖国神社は国から特別扱いされてはならないと思います。参拝した小泉首相に特別扱いする意図はなかったのかも知れませんが、そう見られても仕方がない状況だったことは確かです。今思えば、首相は参拝を公約に含めずに淡々と行うべきだったのかもしれません。国と靖国神社との関わり方に警鐘を鳴らしたという意味で、大阪高裁の判断を高く評価します。