第2次安倍政権への現時点評価(Twまとめ)
最近、twitterで安倍政権の諸政策に対する所感を時々ツイートしているので、こちらにざっと並べて、一言コメントをつけておきます。経済政策関連が多いかな。
タイトルに関する話題もさることながら、景気改善のため「中長期的にリターンを産むような公共投資ならやるべし」との指摘は重要。リターンを産むか否かの見極めが難しいことも多いわけですが。 / “安倍自民党の「インフレターゲット論」3つの問題…” htn.to/ihjKRz
— dslenderさん (@mi95511) 2012年11月26日
衆院選前の冷泉彰彦氏の記事へのリンク。冷泉氏の指摘の通り、インフレターゲット政策にしろ公共事業強化にしろ、マクロ経済的にうまくいくか否かは様々な外部要因に依存するので、ギャンブル性があると言えばあります。とは言え、景気対策は急務なので「とりあえずやってみる」という思い切りの良さがあっても良いかとは思います。インフレターゲットについては、最近も関連ツイートを投稿しました。
高齢者から奪い、若者に与える安倍首相は正しい goo.gl/Uk6r8 現政権の経済政策の影響に関する一つの的確な分析。「正しい」か否かを判断すべきなのは日本の個々の有権者だと思いますが。
— dslenderさん (@mi95511) 2013年3月24日
FINANCIAL TIMESの記事へのリンク。確かにインフレは貯蓄の価値を目減りさせますし、貯蓄額が多いのは富を蓄えた高齢者です。安倍政権の経済政策が所得分配のあり方にも大きな影響を与えるかも知れないという指摘にはハッとさせられます。安倍総理、最強の成長戦略って女性支援じゃないっすかね!?(駒崎弘樹) - BLOGOS(ブロゴス) blogos.com/outline/58689/
— dslenderさん (@mi95511) 2013年3月24日
女性の就労を促進してGDPを上げよう、という主旨の記事へのリンク。ツイートでは私の所感を書かなかったのでここに書きます。確かに一理ある主張ですが、雇用問題にも関わることなので、記事中にも指摘がある「同一労働同一賃金政策」や、あるいはhttp://d.hatena.ne.jp/dslender/20130310/p1で言及した解雇規制緩和問題とも合わせて議論されるべき課題であり、決して簡単ではないでしょう。ところで、安倍首相は先日TPP交渉参加を表明しました。TPPについては先日以下のような連続Tweetをしました。朝日のスティグリッツへのインタビュー記事を読んで、どうしても書きたくなったのです。
TPPについて、ちょっとした連続Tweetをしてみます。私自身はどちらかというとTPP積極派。ただしセーフティネットが脅かされてはならないので、それを防ぐためにしっかり交渉していくべきという考え方。
— dslenderさん (@mi95511) 2013年3月23日
TPPに限った話ではありませんが、経済政策に関して「一部の企業・産業の利益のための主張」⇒「その他の国民の利益にならない」という論法には飛躍があり、一概に正しいとは言えません。国家や世界の経済は、限られた所得をやりくりする家計とは異なるからです。
— dslenderさん (@mi95511) 2013年3月23日
TPP反対派がスティグリッツ(ノーベル経済学賞受賞者)の発言をリンクして士気を上げているようですが… TPP「日米国民のためにならぬ可能性」 米大教授 t.asahi.com/a70b…知的財産権等の特定分野での利害の話に過ぎず、「国益」などと無関係に見えます。
— dslenderさん (@mi95511) 2013年3月23日
朝日新聞デジタルのスティグリッツのインタビューについて1つ補足。 t.asahi.com/a70b TPPの件よりも、規制改革や消費増税や財政・金融対策の話の方が示唆に富む記事だと思います。ただし朝日新聞デジタルに登録していないとその部分を読めません。
— dslenderさん (@mi95511) 2013年3月23日
「スティグリッツと安倍首相では話が合うはずがない」と言ってしまう人は、朝日新聞デジタルの無料部分しか読んでいない可能性あり。インフレターゲットや財政支出による景気対策に限定すれば、2人はかなり意気投合しそうです。twitter.com/MineMaeno/stat…
— dslenderさん (@mi95511) 2013年3月23日
「現政権に批判的な記述は誰もが閲覧できるように、好意的な発言は会員登録しないと読めないように」というのが朝日新聞デジタルの最近の編集方針のようです。スティグリッツは安倍政権の経済政策に概ね好意的な人(TPPには慎重ですが)。 t.asahi.com/a70b
— dslenderさん (@mi95511) 2013年3月23日
スティグリッツは、政府が積極的に財政支出や所得分配(富裕層増税)を行うべきと主張するタイプの経済学者。一方規制緩和には慎重な方。ノーベル賞受賞理由は「情報の非対称性」理論への貢献。朝日の記事では日本の新卒一括雇用に否定的ですが、解雇規制緩和への所感も聞いてほしかった所。
— dslenderさん (@mi95511) 2013年3月23日
さて、TPPへの賛否については、結局のところ特定の分野・産業の利害でしか論じることができないと思っています。積極派にしても反対派にしても、「国民全体の損失」とか「国益」を持ち出す議論は眉唾モノ(どちらに転んでも誰かが損をする or 得をしないことは明らかだから)。
— dslenderさん (@mi95511) 2013年3月23日
TPPで「皆が得をする」ことは恐らくあり得ないでしょう。今や交渉参加への流れができたわけですから、「損をする分野・産業の損失を最小限に留める」方向での交渉をお願いしたいところです。
— dslenderさん (@mi95511) 2013年3月23日
以上の9連続ツイートは、スティグリッツ発言の“都合の良い”部分だけを強調して見出しを付ける朝日新聞批判でもあり、「TPPは全国民のためにならない」的な脅迫まがいの極論を用いる一部のTPP反対派への苦言でもあります。さて、主に外交に関するツイートは次の2つ。
安倍新政権は日本を暴走させない―ジョセフ・ナイ元ハーバード学長に聞く - WSJ.com on.wsj.com/Uh9PrB @wsjさんから
— dslenderさん (@mi95511) 2012年12月21日
あとでブログで詳しく感想を書きたい記事。外交は相手があることだから、時の政権が右だろうが左だろうが、簡単に方針を変えてはいけないと思うのです。 / “右派政権の方が国際協調が進むというパラドックス | プリンストン発 新潮流アメリカ …” htn.to/KY6uyJ
— dslenderさん (@mi95511) 2012年12月21日
中韓との関係を含む外交については、第1次安倍政権の際も無難にこなしていた印象があるので、私はさほど心配していません。ところで、少し気になるのは以下の問題。
少子化対策、首相側近が相次ぎ異論 政権方針に - 朝日新聞デジタル t.asahi.com/a71k 「0歳児は親と一緒にいるのが望ましい」などと言って社会問題(ここでは少子化)より情緒的思想を優先する国会議員は信用したくない
— dslenderさん (@mi95511) 2013年3月23日
「郷土愛・愛国心育むため」 安倍内閣が識者会議設置へ - 朝日新聞デジタル t.asahi.com/a7dk 国や郷土への思いなど人それぞれで構わないのに、と考える人は少なくないはず。この種の情緒的案件に拘っていると、党是である改憲実現が遠のくのではないかと。
— dslenderさん (@mi95511) 2013年3月24日
「愛国心」に関しては2007年に旧ブログに所感を書きました。 dslender.seesaa.net/article/641580…国の愛し方は人それぞれ。政治が画一化を試みるべきではないと思っています。
— dslenderさん (@mi95511) 2013年3月24日
私にとって安倍さんは嫌いなタイプの人ではありませんが、情緒的ナショナリズム的な発言や側近の存在は気になってしまいます。憲法改正のためには有権者の半数の同意が必要なので、「伝統」「郷土愛」「愛国心」のような非実用的かつ主観的なことに拘るのは得策ではありません。まあ、改憲が頓挫するのは大した問題ではありませんが(日本は現行憲法でもそこそこうまくやっていると思うので)、少子化問題など国全体の経済に関わる政策にまで支障をきたすようでは困ります。最後にちょっとした補足。現在の経済指標は一見好調に推移しているようにも見えますが、これは安倍政権の政策への期待感の反映が殆どであり、「アベノミクス」(あまり美学的に好きになれない言葉ですが)の具体的成果が現れるとすれば、もう少し先だと思われます。政権発足からまだ僅か3ヶ月。引き続き安倍政権には注目していきます(特に経済関連で)。