小泉純一郎氏の歴史認識

小泉さんが首相になる以前のインタビュー(月刊『現代』2000年1月号)が
http://d.hatena.ne.jp/travieso/20060112/p1
で引用されていたので、ここでも紹介します。当時の小渕政権の財政政策を批判する際のたとえ話として、満州事変前後の日本に対する歴史観を披露しています。

今の状況は、1931年に起こった満州事変前夜によく似ている。柔軟外交路線を取ろうとした浜口雄幸内閣は「戦争不拡大方針」を出した*1。が、その政府の方針に軍部は耳を傾けることもなく、戦線を中国全土に広げていった。それがキッカケとなって日中戦争を起こし、ついにはイギリス、アメリカとまで戦線を拡大していって、太平洋戦争に突き進んでしまった。その満州事変前夜と同じ状況に踏み込んでしまったな。怖いよ、ホントに怖い。

今になって考えると、中国から撤兵していれば戦争を回避できたと思う。しかし、当時は血を流して獲得した中国大陸での権益を放棄することなどとんでもないというのが国民世論で、戦争に突入していった。現在も景気回復が最優先で、そのためなら財政規律など考えなくてもよいというのが大勢になっている。

この歴史認識には、ほぼ全面的に同意できますし、中国に嫌われる要素など皆無。首相になってからの

祖国のために心ならずも戦場に赴き命を落とさなければならなかった方々に対し、心からの哀悼、敬意及び感謝の気持ちを捧げると共に、戦没者が目にすることができなかった今日の日本の平和と繁栄を守ることの重要性を自覚し、不戦の誓いを込めて、総理の職務としてではなく、一人の国民としての立場で靖国神社に参拝している*1

という見解は恐らく本心でしょう。信教の自由を認めるなら、本来、首相の考え方には何ら問題となる要素はないはず。


にもかかわらず、首相の靖国参拝は一部のアジア諸国および国内の少なからぬ人々にも問題視されています。何故か、ということについては過去のエントリで既に論じてあるので今日は省きます。