自民党結党50年と小泉首相

今日は自民党結党50年記念日。


1週間後には記念党大会が行われますが、一昨日付けの読売新聞「政治を読む」では大会で読み上げられる「立党50年宣言」の話題に触れていました。引用します。

 宣言の原案は、安倍官房長官自民党幹事長代理当時、私案として作成した。10月26日、武部幹事長がこの安倍案を首相官邸に届けたところ、首相は軽く目を通し、こう答えた。
「50年宣言は、おれが書く。任せてくれ」
 その後、首相が自ら筆を執って書き直したのが、今回の宣言だ。
 安倍氏の案と比べると、“小泉宣言”の特徴がいくつか浮かび上がる。
 首相は、過去の自民党政治の総括について、「条理を尽くして幾多の問題を克服」した、との表現を安倍案に書き加えた。
 首相は、郵政民営化法をめぐる攻防では、「非情」に徹したが、自身では「情と理の政治」とみなしているのかもしれない。
 旧来の「自民党らしさ」は、安倍案よりもかなり抑えられている。
 首相は、日本の現状認識として安倍案に盛り込まれていた「わが国のゆかしい伝統や文化、美風といった、いわゆる『日本らしさ』が衰退した」というくだりをバッサリと削った。
 安倍案は、今後の自民党の方針として、構造改革など諸改革の推進とあわせ、日本の歴史・伝統・文化の尊重を打ち出していた。首相は、安倍案のこうした路線はそのまま採り入れたものの、「その是をとって非を除き」との表現を付け加え、復古調と受け取られないよう配慮した。
 来年9月に総裁任期が切れる首相は、こう考えたのだろう。
自民党は今後、改革路線と保守主義を車の両輪のようにバランスよく進めていく。保守と改革、どちらにも偏ってはいけない>

以前にも書きましたが、小泉首相は郵政に関しては非常に(or 非情に)頑なですが、他の面では、かなりバランスが取れた配慮ができる人だと思っています*1


小泉首相の任期終了後には、消費税増税憲法改正など、広範な国民的合意を要する政治課題が待ち受けています。次期首相が誰になるか分かりませんが、これらの難題を乗り切るには、自民党が「保守にも改革にも偏らない」姿勢を見せ続けることが必要だと思います。

*1:西尾幹二氏などの一部の保守派には、日本の歴史と伝統を蔑ろにする首相、と受け取られているようですが、「歴史」「伝統」など実利的でない主観的な要素を政治に盛り込みすぎると広範な国民の支持を得られなくなるでしょう。