占領者に対する評価の難しさ

以前から何度も書いていますが、首相の靖国参拝に対する私の考え方をまとめると次のようになります。

  1. 首相が個人的な信条で参拝することに対して反対しない(首相といえども信教の自由は保証されるべし)
  2. 参拝するなら、リスク覚悟で。国民生活に支障をきたすほどの負の国益は絶対に避けるべし
  3. 私自身が日本の首相だったら絶対に参拝しないけどね
で、ニュース記事をひとつ。


ヒトラー例え小泉首相批判 靖国参拝で中国外相(産経新聞)
 中国の李肇星外相と韓国の潘基文(バン・キムン)外交通商相は15日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の会場である釜山で会談し、李外相は小泉純一郎首相の靖国神社参拝に反対する考えを強調、両外相は再度の参拝は許されないとの意見で一致した。先の小泉首相靖国参拝について、中韓外相が協調して反対の意思を表明するのは初めて。


 また李外相は同日、釜山のホテルで「ドイツの指導者がヒトラーナチス(の追悼施設)を参拝したら欧州の人々はどう思うだろうか」との表現で、靖国参拝を重ねて非難。参拝中止に向け「基本的な善悪の観念を持つべきだ」と訴えた。


 両外相の意見の一致を受け、韓国の盧武鉉ノ・ムヒョン)大統領も18日の小泉首相との首脳会談で、靖国参拝に強硬に反対する姿勢を示すとみられる。


 韓国側によると、李外相が参拝について「アジアの人々の感情を傷つける。再度の参拝はいけない」と切り出した。潘外交通商相は、14日の日韓外相会談や10月末の訪日時に小泉首相らに対し「日本の政治指導者が靖国神社に参拝してはいけない」との考えを明確に伝えたことを説明した。
中国側が先の大戦での日本軍をヒトラーナチスと同一視することに抵抗を覚える人も日本にはいるようですが、それ自体は仕方がないでしょう。


一般に、“占領者”に対する評価というのは、各人の立場によって大きく分かれるものです。たとえば日本におけるGHQの占領についても、「言論統制が厳しい暗黒の時代」と感じた人が居る一方、「GHQが入った途端食糧事情が一気に好転した」と感謝していた人*1も居ます。前者にとっては、GHQは「単なる占領軍」であって、後者にとっては「解放軍」なのです。


先の大戦の日本軍に対して、おそらく中韓国内にも色々な考え方があるのでしょうが、「ナチスと同等」と感じている人が存在することは事実なのですから、そこに文句をつけても何の解決にもならないと思います。


中国外相の発言の中では、むしろ「基本的な善悪の観念を持つべきだ」の部分に押し付けがましさを感じてしまいます。絶対的に正しい善悪の基準など存在するのでしょうか? 歴史認識の難しさを痛感します。


ともかく、参拝に対して強硬に抗議されるのは仕方ないですし、抗議程度で済むならそれでよしとすべきだと思います。ただし、経済関係などの実利的な国益に影響を及ぼさないよう、首相や外相をはじめとする政府関係者は細心の注意を払うべきだと思います。

*1:例えば私の親が該当します