ガス田中国提案は僅かながら進歩

id:dslender:20060305#p1でとりあげた東シナ海ガス田開発問題に関する日中局長級協議の話題です。


昨日の一部報道では、「中国側からは尖閣諸島周辺の日本領海での共同開発提案」となっていました。その報道を聞いた瞬間は、「中共は何というトンデモ提案をするのか」と呆れてしまいましたが、実際の提案は違っていたではありませんか。


尖閣・領海は含まず、ガス田共同開発…中国の提案判明(読売新聞)

 東シナ海天然ガス田問題で中国側が共同開発を提案した「尖閣諸島周辺」海域は、尖閣諸島より北側で、尖閣諸島と日本の領海は含まれていないことが10日、わかった。

 中国側のもう1か所の共同開発提案の対象である「日韓大陸棚共同開発区域周辺」は、日中中間線付近のガス田「翌檜(あすなろ)」(中国名・龍井)に隣接していることも判明した。

 日本側は、この中国提案を拒否しているが、「中国側が、日本が共同開発を求めている4ガス田の海域を含める方向に歩み寄れば、検討に値する」として、中国側に譲歩を求める構えだ。

 中国側が尖閣諸島の隣接海域の共同開発を提示した意図について、日本政府関係者は「中国は、日本の尖閣諸島の実効支配にくさびを打ち込むため、拒否されることを承知の上で提案し、時間稼ぎを狙ったのではないか」と指摘する。「台湾をけん制する狙いもあるのでは」との観測もある。

 一方で、中国側の提案が翌檜の隣接海域を含んでいることについては、日本政府内に「中国案を全面的に否定するのは得策ではない。翌檜の共同開発を認めさせたうえ、さらに日本案に近づける方法もあり得る」と評価する声もある。

中国提案の中で、日韓大陸棚の方が中国側海域を含んでいることは、ほんの僅かですが進歩だと言えるでしょう。この調子で粘り強く交渉していけば良いと思います。対話が大事。9月の小泉首相の退陣までに完全決着するとは思えないので、総裁選ではこの件を論点の一つにすることも面白いのではないか、と思います。