首相の態度変化の件

今国会提出は見送りの公算=皇室典範改正で自民幹部(時事)

 自民党国対幹部は7日夜、秋篠宮紀子さまの懐妊を受け、皇室典範改正について「生まれてくるまで待てばいい。結果的、常識的にはそうなるだろう」と述べ、女系天皇を容認する改正案の今国会提出は見送られるとの見通しを明らかにした。

「男系を維持すべし」とか「男性が後を継ぐのが自然」と考える人にとっては、典範改正案提出をご出産まで待つのが“常識”と考えたくなるでしょう。恐らく、現時点で世論調査をすれば、改正先送りが多数の支持を得ると思われます。


ただ、将来に亘る安定した皇位継承や一貫した後継者教育を重視するなら直系長子優先とするのが望ましい、というのが有識者会議報告書の精神。この考えに従うなら、将来的にも後継者不在になる可能性がある以上、ご懐妊によって改正を遅らせる合理的な理由はありません。


よって、小泉首相が昨日の午後の段階で(ご懐妊とは切り離して)今国会での改正を主張していたのは、十分に筋が通っていたわけです。
皇室典範改正案、今国会成立目指す…首相が表明(読売新聞)

小泉首相は7日の衆院予算委員会で、皇室典範改正問題について、「天皇制が今後も安定的に継承されるためには、女性天皇女系天皇も認めた方が良い。今国会中に成立するように努力したい」と述べ、紀子さまのご懐妊とは切り離し、女性・女系天皇を容認する皇室典範改正案の今国会の成立を目指す考えを示した。

ところが、今日になって発言のトーンが変わってきました。
皇室典範改正案、今国会提出は慎重判断…首相軌道修正(読売新聞)

 小泉首相は8日午前の衆院予算委員会で、皇室典範改正案の扱いについて「国会で、各党が冷静に穏やかに議論されることが望ましい。その結果を見てから判断する問題ではないか」と語った。また、「だれもが『こういう改正が望ましい』という形で成立することが望ましい。今は賛否両論があるが、慎重に審議し、政争の具としないように取り運びたい」と述べた。

要するに、筋を通すならあくまでも今国会での成立が妥当。世論や異論への政治的配慮を重視するなら先送りが妥当。首相が最終的にどのような判断を下すか、読み切れません。