谷垣・与謝野氏の格差認識

小泉首相はいわゆる「格差」問題について、内閣府の見解を元に「格差拡大は見せかけのもの」という認識を示しています。私はこの認識には余り賛同できません。理由はid:dslender:20060125に書いてあります。格差拡大が存在するか否かは見方によって変わりますが、格差を実感する人が存在することが事実である以上、存在を認めた上でどう対処すべきか議論する方が国民の心象を良くする上で必要だと思うからです。


一方、閣僚の中には小泉首相と少し違う認識を示している人も居ます。
谷垣氏「格差固定望ましくない」(ライブドアニュース)

与謝野担当相は「ジニ係数(所得分配の不平等さを測る指標)が弱冠上がったのは事実だが、小泉政権での改革と格差拡大の問題は直接関係ない」と直接的な関連を否定。要因は、不景気下での雇用情勢にある、との見方を示した。そして「経済も明るさが見え出し、非正規雇用などの雇用形態が少しずつ解消されつつある」として、格差拡大が解消に向かうと推測した。


谷垣財務相は「基本的に小泉首相と見方を共有する」とした上で、「自由競争の中である程度、格差が生じることはあり得るが、固定化されるのは望ましくない」と述べた。そして、「どこに由来するのか、注意深く見ていく必要がある」と語り、一例としてフリーター、ニート対策に取り組んでいる、とした。

与謝野氏や谷垣氏くらいの認識が妥当と思われます。恐らく格差拡大の要因は一つではありません。野党が言うように「小泉改革が原因」で片付けるのも無理があるでしょう。


余談ですが、次の箇所は少し面白かったです。

20日の財政演説の中で、谷垣財務相は「構造改革の先にあるのは、弱肉強食の社会ではない。家族や地域社会の絆の中で支え合っていく活力と信頼に満ちた社会」と訴えた。その演説を引き合いに出され、小川氏から「期待したいんですよ。(谷垣氏は)小泉首相と違った雰囲気を感じる。瞳の奥に温かさを感じる」と持ち上げられる一幕もあった。

谷垣氏の瞳が温かいかどうかはよく分かりませんが、最近の谷垣氏は総裁選を意識してか、他の「ポスト小泉」の人々と一線を画した主張が目立ちます。私にとっても、いま最も注目している政治家の一人なのです。