読売「検証・戦争責任」の「特攻」

読売新聞の不定期連載「検証・戦争責任」を愛読しています。今日は「特攻」。「特攻入門」という感じの分かりやすい記事でした。


印象に残った箇所を1つだけ引用。

大西中将*1は特攻隊を編成する際、第1航空歓待の先任参謀に「こりゃあ、統率の外道だよ」と語ったという、作戦とは、わずかでも生還の可能性がある「九死一生」が限度で、100%の確率で死が予定されている「十死零生」の特攻は、作戦の名に値しないという意味だ。

そういえば、零戦乗りで有名な故・坂井三郎氏が、1996年の「紙のプロレス」22号のインタビューで次のように述べていたことを思い出しました。

私は上官の命令に抗してでも部下に言いましたよ。「いかなる苦しさにも耐えろ、自爆するな。敵の捕虜になっても生き延びろ」と。捕虜になることは死ぬことよりも相手の戦力をそぐには有効なんです。監視兵をつけ、敵の食料を喰らい、施設を使う。脱走も可能だ。

単なるヒューマニズムだけではなく、戦略として特攻を否定する論には説得力を感じたものです。


特攻は開戦責任や敗戦責任とは少し違うような気がしますが、旧日本軍上層部の愚劣さの象徴として後世まで語り継ぐのが適切だと思います。

*1:特攻作戦を提案した大西滝治郎海軍中将