首相の靖国発言を独自スタンスで報じる読売

まず、昨日の参院本会議代表質問に関する共同通信の報道から引用
靖国参拝で首相「中韓両国以外から批判ない」(産経新聞)

小泉純一郎首相は25日午前、参院本会議の代表質問に対する答弁で、自らの靖国神社参拝問題について「アジア諸国で中国、韓国以外に靖国参拝を批判する国はない」との認識を示し、靖国参拝が対アジア外交の障害になるとの指摘に反論した。同時に、東アジア共同体の形成に向けて積極的に貢献していく姿勢を強調、「日米関係が緊密であることはアジア外交を戦略的に進める上でも極めて重要だ」との見解を重ねて示した。

朝日・毎日を含む他の多くの新聞社も「靖国批判は中韓だけ」を見出しにした記事を書いています。


この首相発言自体は、私は支持しません*1。相手の心象を良くする可能性皆無。特に中国は他のアジア諸国に強い影響力を持つので、中国との政治的関係が良くないままで東アジア共同体形成に貢献しようとしても、空回りに終わる可能性があると思われます*2


ところで、主要新聞社の中で読売だけは、昨日の「靖国批判は中韓だけ」ニュースをWebに載せていません。その代わり、今朝の紙面には「首相の答弁の要点」として、次のような記事を載せています。

戦争の反省をふまえ、二度と戦争を起こしてはならないという気持ちから参拝している。靖国神社がどのような主張を持っているかとは、別の問題だ。私は他の人、国会議員を誘って参拝したことは一度もない。内閣総理大臣小泉純一郎も一人の人間。心の問題、精神の自由は侵してならないと憲法も認めている。

靖国批判は中韓だけ」を見事にカット*3。その代わり、他の新聞が載せていない「靖国神社がどのような主張を持っているかとは、別の問題だ」を載せています。靖国神社歴史認識には同意しない、という首相の明確なメッセージとして重要だと思いますし、仮に首相の発言が読売記事だけだとしたら、私は100%同意できるのですが……


昨日も書いた通り、読売新聞の最近の主張には独自性が見えて興味深いのです。今後も注目してまいります。

*1:ネット右翼系のブログなどでは従来から見られる主張ですが

*2:そもそも東アジア共同体はどうしても必要なのか疑問なのですが、それは別の機会に

*3:完全に推測なので注扱いにしますが、渡辺恒雄氏が「小泉はこの肝心なときに馬鹿なことを言うなよ」という意図で、あえて削除したのかも知れません