「押し付け憲法論」は憲法改正の邪魔

「憲法9条改正が国民の同意を得るには」の補足のようなエントリです。


私は憲法第9条の改正に賛成です。しかし、そう簡単に改正は実現しないのが現実でしょう。少なからぬ国民が未だに9条改正に反対しているので、国民投票がネックになりそうです。改正派は、多少時間をかけても良いから、多くの国民が容認できる案を提示し、根気強く説明していかねばなりません。


時々、「現憲法GHQからの押し付け憲法だから、自主憲法を制定しなければならない」という理由で憲法改正を主張する人を見かけます。思想は個人の自由ではありますが、この理由には客観的正当性が全く感じられません。百歩譲って「現憲法押し付け憲法」が正しいとしても、「内容が良ければそれでいいじゃないか*1」と護憲派に馬鹿にされるのがオチ。これでは、改正に必要な過半数の国民の賛成を得ることがますます困難になる恐れもあります。


改正を主張するなら、「憲法の内容に●●という問題点があるので、○○のように改正すべし」と、具体的内容で議論しなければいけません。


幸い、昨年10月に自民党が新憲法草案*2を発表して以来、この種の「押し付け憲法論」「自主憲法論」を声高に主張する政治家は目立たなくなっているような気がします。個人ブログレベルでは時々見かけますけどね。今後も、真剣に憲法改正を願うならば、「押し付け憲法論」は思っていても口に出さないのが賢明だと思います。

*1:憲法の内容が実際に良いかどうかはさておき、これ自体は文句なしの正論でしょう

*2:id:dslender:20051029に書いた通り、情緒的保守色を薄めた自民党草案はなかなか良い改正案だと思っています