谷垣氏の靖国参拝への見解
谷垣財務相は、先週の段階では、首相の靖国参拝の是非に関しては慎重な(換言すれば曖昧な)見解を述べていました*1が、昨日の会見ではかなり明確に自身の見解を述べました。
谷垣財務相:靖国参拝、首相とは一線を画す立場示す(毎日新聞)
谷垣禎一財務相は17日、日本記者クラブでの会見で、小泉純一郎首相の靖国神社参拝に関連して「日本人として参らなくていいという考え方は言いにくい面がある。中国、韓国との関係を壊してはならないということと、どう比較考量してトップリーダーとしての判断をするかということになるだろう」と述べ、強硬姿勢を崩さない小泉首相とは一線を画す立場を示した。
谷垣氏は京都府遺族会の会長で、自らも参拝経験があるなど、基本的に靖国に理解がある人です。自らの信条よりも中韓との政治的関係を優先するという政治的判断なのでしょう。
また、靖国神社へのA級戦犯合祀について「ご当人たちの意思にも合わないことだと思う。合祀は間違った判断ではなかったか」との認識を改めて示した。
「ご当人」というのはいわゆるA級戦犯の「英霊」でしょうか? 意思に合うかどうかは検証しようがないので措くとしても、「合祀が間違った判断」というのはある意味では正しいと言えます。理由は中韓との外交への影響だけではありません。そもそも、合祀は1966年に厚生省援護局が靖国神社に渡した名簿に基づいて、1978年に当時の松平永芳宮司が行いました。これは、国と宗教団体の関わり方として憲法上問題があったのではないかと個人的には思っていますし、天皇の意向に反していたのではないかという説もあります*2。閣僚がここまで踏み込んだ見解を示すのは結構珍しいのではないでしょうか*3。
推測ですが、谷垣氏が靖国神社に対して踏み込んだ見解を示したのは、他の「首相候補*4」と差別化する方が得策という判断なのかも知れません。
*1:id:dslender:20060113#p2では若干批判的な論調でとりあげました
*2:http://speech.comet.mepage.jp/note08/mint_353.htmを参照。靖国大好き派の方のpageですが、A級戦犯合祀の経緯と問題点については非常に参考になります