小泉首相年頭記者会見の矛盾点

2日遅れの話題ですが、1月4日の小泉首相の年頭記者会見質疑応答で靖国参拝問題に触れた部分について。
小泉総理大臣年頭記者会見首相官邸

そして、中国の問題、韓国の問題、靖国の問題で首脳交流が進んでいないという御質問だと思いますが、私はこの靖国の参拝の問題は外交問題にはしない方がいいと思っています。一国の首相が一政治家として一国民として戦没者に対して感謝と敬意を捧げる。哀悼の念を持って靖国神社に参拝する。二度と戦争を起こしてはいけないということが、日本人から、おかしいとか、いけないとかいう批判が、私はいまだに理解できません。まして外国の政府が一政治家の心の問題に対して、靖国参拝はけしからぬということも理解できないんです。精神の自由、心の問題。この問題について、政治が関与することを嫌う言論人、知識人が、私の靖国参拝を批判することも理解できません。まして外国政府がそのような心の問題にまで介入して外交問題にしようとする、その姿勢も理解できません。精神の自由、心の問題、これは誰も侵すことのできない憲法に保障されたものであります。

靖国参拝批判について本当に「理解できない」なら由々しき問題ですが、首相ともあろう人がそこまで理解力不足だとは思えません。言うまでもなく、参拝批判の原動力は靖国神社が標榜する「先の大戦時での戦争指導者を肯定するかのような歴史認識」が中韓や一部の日本人に嫌悪されていることです*1。この点に理解を示してしまうと、逆に国内の靖国大好き派から批判を受ける可能性があるという判断で、「理解できません」に終始しているのではないかと推測します。


ただ、これでは「何と理解力のない奴なんだ」と思われてしまうので*2、「一国民として戦没者に対して感謝と敬意を捧げる」という志(これ自体は妥当だと思います)が批判者の納得を得る可能性はほぼ皆無になってしまうでしょう。


首相が靖国参拝を継続するなら、「靖国歴史認識が嫌われているという現状認識を表明した上で、それでも信教の自由に基づいて参拝する」という姿勢が最も望ましいと思います。

*1:嫌悪されても仕方ない歴史観です。私自身も大嫌い

*2:そのような論調で参拝を批判しているのが1月5日の朝日社説です