靖国問題さえ解決すれば日中関係が良くなるか否か
“良くなる”が“完全改善”を指すとすれば、明らかに偽です。日中関係の懸案事項は靖国問題だけではないからです。
しかし、ほんの僅かな関係改善でも“良くなる”に含めるなら、真である可能性があると思います。少なくとも、偽であるとは立証されていないはずです。ネット右翼をはじめとする全面的嫌中派は、首相の靖国参拝に反対する前原民主党代表が中国のTOPに会えなかったことで「『靖国参拝しなければ日中関係が良くなる』は嘘だ」と主張して喜んでいるようですが、非常識な“中国脅威論”をぶち上げて参拝反対を帳消しにした前原氏の事例は全く参考になりません。
ほぼ間違いなく言えることは、首相と周辺の人々の靖国への接し方か、靖国神社自身の歴史観か、中国政府の体制のいずれかに変更がない限り、中国との政治的関係が好転する可能性はゼロだということ*1。靖国大好き派の中には「強気に出ていればいずれ中国は靖国について何も言わなくなる」と主張している人もいるようです。典型的な「靖国=外交カード論」ですが、何を根拠にしているのか不明。靖国の歴史観がどれほど嫌われるに値するものか、理解していないようです*2。
ゆえに、冒頭の問いに対する答えは、「靖国問題の解決*3は日中関係改善の十分条件ではないが、必要条件ではある」となります。