読売社説で台湾情勢入門

今朝の読売社説は現在の台湾情勢の入門に相応しいので、リンク&一部引用しときます。


その前に超基礎知識を簡単にまとめ。現在の台湾政府の与党は、陳水扁総統が率いる民進党で、中共との対決姿勢を打ち出しています。一方、現在の野党第一党は国民党で、こちらは親中派。しかし、最近の地方選挙では国民党が党勢を盛り返しています。
[台湾情勢]「野党台頭で進む政局の流動化」

 陳総統の有力後継者、蘇貞昌民進党主席が引責辞任するなど、党内後継レースも混沌(こんとん)とした状況になりつつある。残り任期2年半となった陳政権の前途は、一段と険しくなってきた。


 とりわけ焦点となるのが対中政策である。中国政府は今春、国民党の連戦主席(当時)ら野党指導者を北京に招き、友好ムードを演出した。選挙戦で、陳総統は国民党の対中接近を非難した。


 馬主席は「三通」(直接の通信、通航、通商)の実施を訴え、対中融和姿勢を鮮明にした。選挙結果は、「融和」を選択したことになる。


 中国との対決姿勢を変えない陳政権の政策に、財界を中心に不満が出ている。威信を高めた馬主席の下で野党の糾合が進めば、陳政権に対して、対中政策見直しを求める圧力が増すのは必至だ。


 一方で、独立阻止のためなら武力行使も辞さない、との姿勢を取る中国への警戒感は、住民の間で依然、根強い。


 馬主席ら大陸出身系の主導する野党陣営が、民意を超える形で対中接近に動けば政権奪回の流れに狂いが生じよう。


 対日政策で強硬派と見られている馬主席は最近の記者会見でも、「日本は(対中侵略の)歴史的事実を認識すべきだ」と、改めて強調した。


 台湾政局は、流動化の様相をさらに深めていくだろう。日本など周辺国は、今後の動向へ注視を怠れない。

「中国との対決姿勢を崩さない与党と、中国との関係を悪化させたくない財界&野党」という構図は、何となく日本と似ています。台湾にとっての中国問題が日本のそれにくらべて遥かに切実であることは言うまでもありませんが。