思想が違っても評価すべきところは評価したい。
直接には政治と関係ない雑談です。
一昨日、岩波新書から出版された森達也氏の新刊『悪役レスラーは笑う』を購入しました。一気に読了。非常に面白かったです。詳細感想は後日別のpageに書きます。
悪役レスラーは笑う―「卑劣なジャップ」グレート東郷 (岩波新書 新赤版 (982))
- 作者: 森達也
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/11/18
- メディア: 新書
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ただ、この本について2chプロレス板のスレッド【蔵前】ビバ昭和プロレス10本目【興行戦争】に書き込まれた否定的な感想が気になりました。
- 537:お前名無しだろ :2005/11/25(金) 10:55:00 id:yE8HkyJl0
- 前レスにあった「悪役レスラーは笑う」を買ってみたけれど笑ってしまうよ。
まず彼の自叙伝として期待したら、絶対に裏切られる。
確かに、東郷にはデータ−が少ないが、書かれていることは
他人のアヤフヤな伝聞ばかり。
それも「東郷はチャイナだ」コリアだ」という無責任な発言を
垂れ流し(流智美には「チャイナ説」は書かないほうが良い、とアドバイスされている
もっとも最初に言い出したのは流だが)
挙句の果ては、そういう偏狭なナショナリズムはいけない、とマッチポンプをして
とどのつまりは現体制の批判(苦笑)
おい!おい! 酷すぎるぞ!! 森達也
537氏にとって、この本のメインであるドキュメンタリー部分がつまらなく感じられたのなら、それは仕方ないでしょう。しかし、私には「森氏の政治思想が気に食わない」ゆえに「森氏の書く本は酷すぎる」と判断しているように感じられます*1。如何なものかと。
「政治思想が合わない人とは話が通じない」と決めてかかるブログや書き込みを(左右を問わず)最近よく見かけます。個人的には勿体無いと思います。異なる思想の文章の中にも、頷ける部分があるかも知れません。ましてや、森氏の本は政治がメインではないのです。
私自身、現在の小泉体制を支持していますし、集団的自衛権を前提にした防衛を行うべきだと思っています。この点、森氏の思想とは相反します。それでも、ジャーナリストとしての森氏の取材姿勢を尊敬しています。グレート東郷についてアヤフヤなことしか書かれていない件についても、全く問題ありません。逆に、徹底して出自を隠し通した東郷の凄みが伝わってきました。
今後とも、左右を問わず良いものは良い、と評価する姿勢を忘れずに、このダイアリーを運営してまいります。
*1:「無責任な発言を垂れ流し」のような表現を選ぶところなどから、そう感じました