無防備地域宣言の話題がトレンディ(死語)
私が巡回している保守系もしくはネット右翼系のブログで、最近「無防備地域宣言運動」をとりあげて叩いているのを頻繁に見かけます。
そこで、当ダイアリーでもこの話題をとりあげてみます。
まず、11月21日の産経の記事を参考に基礎知識をまとめます。
ジュネーブ条約には、「紛争当事国が無防備地域を攻撃することは手段のいかんを問わず禁止する」と定められています。「無防備地域」と認められるには、次の条件が必要。
- すべての戦闘員や移動兵器、移動軍用施設が撤去されている
- 固定された軍用施設や営造物が敵対目的に使われていない
- 当局や住民による敵対行為がない
- 軍事行動を支援する活動がない
そこで、予め「無防備地域」であることを地方自治体が宣言することで、万一の紛争の際に地域を守ろう、という発想に基づく市民運動が「無防備地域宣言運動」というわけです。
私の考えを書きます。「無防備地域」の概念は国際法の枠外にあるテロリストには通用しません。ジュネーブ条約を批准していない国もあります。国際法には強制執行力がないので、いざとなると守らない可能性大です。しかも、防衛は国の管轄なので、たとえある地域が無防備宣言をしていても、有事の際には国の法律に基づき自衛隊が入ってきて、結果的に「無防備地域」ではなくなります。以上の理由により、一旦紛争が起こってしまったら「無防備地域宣言」は意味を成さないと思われるので、私は全く賛同しません。
そもそも、地方自治体による無防備地域宣言は無効、というのが政府見解です。
【参考】http://www.kantei.go.jp/jp/singi/anpo/houan/buryoku/027.html
ところで、無防備地域宣言への反対論としては、西宮市議*1の今村岳司さんによる次のpageが断然優れています。
無防備地域宣言運動への反論
一切の感情論を廃していて、理論的な説得力があります*2。こちらをご覧の方の中で、無防備地域宣言運動に関わろうと思う方は*3、今村岳司さんに勝る説得力を備えた主張を準備しておかないと辛いと思いますよ。