民主党にとって対案路線と対立路線のどちらがいいのか

民主党の前原代表は、就任の際「与党に何でも反対ではなく、対案を出していく」という内容のことを述べていました。小泉首相もその姿勢にエールを送っていたはず。しかし、党内からは異論が出てきました。
「自民党との違い示せ」 小沢氏、前原路線に懸念(10月29日産経新聞)

 民主党小沢一郎前副代表は29日、北京市内で同行記者団と懇談し、前原誠司代表が進める対案路線について「政府の法案を少しいじったものでは民主党の政治的な主張にならない」と指摘、「旧来の自民党とは違う、対立した考え方を示さなければ民主党の存在意義はなくなる」と懸念を示した。


 小沢氏は「『(55年体制は)対立の時代だったから今は協調しなければならない』という発想は間違い」とし、「自民党と同じでは国民はますます期待しなくなる。自民党と違って初めて期待されるということを分かってほしい」と注文を付けた。

民主党にとって対案路線(または協調路線)と対立路線のどちらがいいのでしょうか?


私の直感では、民主党の党勢を第一に考えるなら、小沢氏が言うように対立路線の方が良いのだろうな、と思います。日本の有権者は最近右傾化したと一部では言われていますが、憲法9条改正に反対もしくは慎重な層は現在でも多数居ますし、社会民主主義的な経済政策に共感を覚える層も相当に居ると思われるからです。そういう人々に対しては、自民党との違いを強く打ち出す方が受けは良くなります。


小泉首相が対案姿勢にエールを送った理由の一つには、協調姿勢を取ってくれた方が組しやすい、という事情もあるのでしょう。


最近の記事からも一つ。
前原代表、改造内閣を一転批判(読売新聞)

 民主党の前原代表は1日の常任幹事会で、第3次小泉改造内閣について、「(新閣僚が)決まった時には『頑張ってもらいたい』とエールを送ったが、(閣僚の)記者会見を聞くと、様々な問題が噴き出している。衆院選で勝ったおごりが表れ始めている」と指摘し、エールを撤回する考えを示した。

閣僚の記者会見での「様々な問題」というのは、一旦死刑執行署名拒否宣言をした杉浦法相や、靖国参拝宣言をした安倍官房長官のことなどを言っているのでしょうか? うーむ、これらは自民党の驕りというよりも、彼らの持論だと思います。それぞれ批判される余地がある発言だと思いますが、「自民党の驕り」という曖昧な根拠を持ち出すのでは、反自民以外の人への説得力は皆無だと思います。谷垣財務相の「2007年に消費税率を上げる」も今に始まったことではないので、「驕り」とは違うと思います。


こんな根拠を持ち出してまで対立姿勢を出さなければいけない前原代表も大変だな、と思います。