国立追悼施設に関する読売社説から

[靖国参拝問題]「国立追悼施設の建立へ踏み出せ」(10月28日の読売社説)

 中韓両国の批判の重点は、いわゆるA級戦犯の合祀(ごうし)にある。だが、靖国神社は教学上、分祀は不可能だ、とする立場を堅持している。「分祀」で中韓両国の理解が得られる見通しは立たない。


 極東国際軍事裁判東京裁判)が国際法的に妥当なものだったかどうかは、当時から内外に様々な議論がある。だが、小泉首相は、先の通常国会で、A級戦犯について、「戦争犯罪人であると認識している」と答弁した。


 「戦争犯罪人」と明言したのは、歴代首相で、小泉首相が初めてだ。「戦争犯罪人」と認識した上で、A級戦犯が合祀されている靖国神社に参拝するのは、どう見ても、おかしい。


 A級戦犯分祀が出来ないなら、無宗教の国立追悼施設を建立するしかない。2002年末、当時の福田官房長官の私的懇談会は、戦没者の追悼のあり方について、追悼・平和祈念のために、国立の無宗教の追悼施設の建立を提言した。


 今年6月の日韓首脳会談の際、小泉首相は、国立の無宗教の追悼施設について「日本の国民世論など諸般の事情を考慮して検討していく」と伝えている。


 自民、公明、民主3党の有志議員は、国立の無宗教の追悼施設建設を求める超党派議員連盟を設立し、来年度予算での調査費計上の問題も論議するという。


 政府は、具体的な検討に入るため、調査費を計上すべきではないか。


 ただ、他国の“圧力”で進めるものではない。当然、強い反発が予想され、全国民がこぞって戦没者を追悼し、平和を祈念する場とはならない恐れがある。


 新たな追悼施設の建立は、日本国民の主体的な判断ですべきことだ。そのために、中韓両国も「静かな環境」を作ってもらいたい。
読売の社説にほぼ同感です*1。建立を進めるなら、批判的な人々にも極力理解してもらえるような努力を怠ってはならないでしょう。

*1:ただし1箇所だけ疑問。「「戦争犯罪人」と認識した上で、A級戦犯が合祀されている靖国神社に参拝するのは、どう見ても、おかしい」というのは、首相の個人的な信仰観への干渉のように感じられ、いまひとつ納得できません