年金問題の難しさ

年金問題は、郵政後の重要な政治課題の一つですが、わかりにくい面も多く、しかも私の世代は年金に無関心になりがちです。


今朝の読売の朝刊に「基礎からわかる年金一元化」という特集が載っていました。わかりやすく書かれていますが、残念ながら現時点でWebには載っていません。超初心者のために、内容を超要約します。


現行の年金制度は国民年金、厚生年金(民間事業所で働く人が加入する年金)、共済年金(公務員などが加入する年金)など細分化され、煩雑さや制度間格差が問題になっているそうです。そこで、自公与党、民主党ともに、年金制度の一元化を公約に掲げています。しかし、両者の主張にはかなり隔たりがあります。


与党の案は、厚生年金と共済年金を一元化し、官民の格差を無くそうというものです。この案の問題点は、国民年金制度はそのままなので、サラリーマンと自営業者の間の不公平感や、国民年金未納者の存在による皆年金制度の空洞化が解消されないということ。


民主党案は、全年金制度を一元化して所得に応じた年金を給付し、低所得者には最低保障年金を税から給付する、というもの。問題点は、大改革なので手間が掛かること、最低保障によって新たな不公平が生ずる可能性があること、多額の税負担を要することです。実際、読売は次のような調査結果を発表しています。
年金一元化、保険料率20%・消費税7%で給付維持(読売新聞)

 公的年金国民年金も含めて完全に一元化する場合、現行制度並みの給付水準を維持するためには、保険料率を年収の20%、消費税率を当面は現在より2ポイント高い7%程度にする必要があることが、駒村康平・東洋大教授らの試算で明らかになった。


 保険料率を現行の厚生年金が想定する18・3%とする場合は、定年の65歳への完全延長や女性の就業率向上により、制度の支え手を増やすことなどが必要になる。保険料率を15%にとどめた場合には、給付水準の引き下げに加え、消費税率を現在より4ポイント高い9%程度にする必要がある。
駒村教授の試算方法は民主党案とやや異なるそうなので、このニュースだけで民主案がダメ、とは言い切れないと思いますが、ある程度参考になるでしょう。


年金問題は、郵政民営化問題よりも国民的合意を得るのが難しいと思います。なぜなら、郵政民営化は(少なくとも短期的には)殆どの国民生活に大きな影響を及ぼすものではないので、財政状況の改善や金融市場の活性化のため、という説明が可能です。しかし、年金は国民の所得分配のあり方に直結します。たとえば、民間事業所で安定した職を得ている人にとっては自民党案が得、所得が低めの人にとっては(税負担を度外視すれば)民主党案が得、という感じになるでしょう。万人の利益になる案は出せそうにありません。


このような問題に日々取り組んでいる政治家の皆様は凄いな、といつも思うのです。