小林よしのり『靖国論』感想(1)
余り時間がないので、以前メインブログに書いた記事をほぼそのまま転載します。
- 作者: 小林よしのり
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2005/08/01
- メディア: 単行本
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実際、小林氏の主張は靖国信仰や“霊”の存在を認める立場の人には正しく思えるのかも知れませんが、そうではない私のような人間にはナンセンスなだけ。たとえば、小林氏は国立追悼施設を“国営カルト宗教”として否定していますが、その部分では
彼らの魂は「靖国神社」にある。国が勝手に追悼施設をデッチ上げてもそこには何もない
と書かれています。私などは、「魂? 何それ?」と思ってしまいます。宗教観が根本的に違う私に対する説得力は皆無です。
ちなみに、高橋哲哉氏も国立追悼施設を否定しています。理由は、新施設が“第2の靖国”を作り出すから。実は小林氏と同じようなことを言っているのが面白いです。
論理的な正しさなど、靖国本には不要だと思います。感情論で十分。その意味では小林氏の『靖国論』は主張がわかりやすく伝わってくるので、優れていると思います。
とは言え、ごく一部(小泉首相談話への批判辺りなど)に、客観的に見て揚げ足取りとしか思えない記述がありました。これについては、後日とりあげたいと思います。減点要素。
この点を除けば、靖国好きな人の靖国論を知るには絶好の一冊だと言えるでしょう。高橋哲哉『靖国問題』と同等の高得点をつけておきます。
また、靖国にまつられている戦死者や殉難者の書簡が収録されているのはGood。このような書簡の存在を知らない日本人は案外多いと思われるからです。胸を打たれます。これを読んで靖国に参拝してみようと思う人もいるかも。私の場合は、馬鹿な負け戦を2度としてはならないと痛感すると同時に、やはり先の大戦での一部の指導者を未来永劫に亘って批判し続けたいと思うのです。