与党は教育基本法改正へ英断を

私は学生の頃、現在の保守の人々が言うところの「サヨ」でした。


自衛隊も米軍基地もいらないと思っていた時期もありますし、国民の税金で天皇を食わせるのは不公平だと思っていました。靖国神社も大嫌いでした(これだけは現在も同様)。当然ながら、かつての「軍国主義」を連想させる「愛国心」という言葉も嫌いでした。


今、連立与党がその「愛国心」で少々(?)もめています。「国を愛する」と明記したい自民党と、「国を大切にする」に留めたい公明党


教育基本法:先行き見えぬ改正論議 郵政法案の余波で(毎日新聞)

 これまでの議論で(1)前文に「国際性」「公共の精神」を盛り込む(2)「高等教育」「私学」の重要性を明記−−などの点で一致。しかし、愛国心をめぐっては「郷土と国を愛する」と明記したい自民党に対し、公明党は「郷土と国を大切にする」にとどめるべきだと主張、意見が折り合わない状態が続いている。国家観の絡む同法には憲法改正に議論が連動する部分も多いことから「連立政権のトゲ」(公明党幹部)との見方も出ている。

議論自体は悪いことではありません。しかし、これによって他の大事な政治課題の足を引っ張ってはならないと思います。


そういえば、公明党に対して「国家観は民主党に近いではないか。何故民主党と組まないのだ」という声も聞かれます。私自身は、些細な国家観の違いで政治行動を決めない方が良いという考えなので*1、そのような声には同調しません。少なくとも、次の選挙までは連立に亀裂を入れてはならないと思います。さもなくば、先の総選挙で自公に324議席を与えた有権者の期待を裏切ることになるからです。

 さらに、保利氏の自民党からの締め出しという要素が重なった。自民党文教族の中心だった保利氏は、旧協議会、検討会の座長をつとめ、すべての議論に加わってきた。それだけに、文科省幹部は「一番分かっている人で、代わり得る人はいない」と指摘、調整難航は必至との見方を示す。また、公明党幹部は「保利氏は公明党の立場をよく理解して動いてくれていただけに心配だ」と語り、保利氏が議論から退場すれば自民党文科省愛国心問題などで強硬姿勢に転じかねない、との疑念を呈する。

あくまでも個人的な考えですが、私自身、教育基本法に「国を愛する」を盛り込む必要性を感じません。どちらでも良いと思います。ここは公明党が妥協しても良いのではないでしょうか。仮に妥協したとしても、いきなり超強硬に転ずる自民党ではないと思います。


公明党が(もしくは支持団体である創価学会の人々の多くが)「愛国心」に抵抗を覚える気持ちは痛いほどよく理解できます。先述の通り、かつての私がそうだったから。「愛国心」を唱える奴は戦争好きだと思っていましたよ。しかし、多少保守寄りに意見を転じた現在では、「愛国心」という言葉が戦争につながるものではないことが理解できました。靖国大好きで反自虐主義大好きの連中にも、戦争を望んでいる人は殆どいないはずです。


もちろん、逆に自民党文科省が妥協しても構いません。ともかく、見る人によっては単なる言葉の遊戯にしか思えない論争からはできるだけ早く脱却し、実のある法改正を実現して欲しいものです。