盧武鉉大統領が遊就館から得るものって…

「遊就館を訪問したい」韓国大統領、靖国参拝けん制(読売新聞)

盧大統領は「日本にとってアジアとの友好協力はあらがえない時代の流れだ」と指摘するとともに、歴史共同研究や共同歴史教材作りの必要性を強調。さらに、「遊就館に行ってみたいと思ったが、周りの者に止められた。日本側が承知してくれれば行ってみたい」と述べた。中曽根元首相はこの発言について、「靖国問題を正面から出さず、(間接的表現で)関心を示した」との見方を示した。

遊就館靖国歴史認識の象徴ですから,靖国に批判的な人なら一度行ってみたいと思うのは自然です.私も昨年の10月に行きました.そのときの感想はid:dslender:20051025#p1に少し書いてある通り.主に満州事変や支那事変(日中戦争)に関する記述が日本に好意的過ぎると感じました.一方,正直なところ韓国についての記述は殆ど印象に残っていません.それもそのはず,遊就館戦争博物館ですから,武力侵略で統治したわけではない韓国の扱いが相対的に軽くなるのも当然.


だから,盧大統領が遊就館に行ったとしても,得るものはさほど多くないのではないかと他人事ながら少し心配になったりしますが,それでも是非見に来て欲しい気がします.じっくりと展示品を見て,出来れば展示文章も熟読して頂いた上で,忌憚ない感想を述べて欲しいものです.


歴史認識については,絶対的な唯一の正解などあり得ません*1.様々な考え方が存在する状態が正常.その意味で,日韓が歴史認識について徹底的にやり合うことは大いに意義があると思います.たとえ妥結点が見いだせなくても,です.


幸い,日本政府も反対しない模様.
官房長官、韓国大統領の遊就館訪問「いつでもお迎えする」 (日本経済新聞)

安倍晋三官房長官は17日午前の閣議後記者会見で、16日に中曽根康弘元首相らと会談した韓国の盧武鉉大統領が靖国神社の戦争資料館「遊就館」の訪問に意欲を示したことについて、「これはまさに盧武鉉大統領のご判断だろうと思う」と述べ、日本政府としては反対しない考えを示した。

*1:南京事件での死者数など,客観的数値には唯一の正解が理論的に存在しますが,そこから得られる認識については,万人が納得できる結論など存在し得ないでしょう