三位一体改革とは

小泉内閣が手掛ける様々な構造改革のうち、国と地方の税財政改革である「三位一体改革」は、一般人には最も分かりにくいと思います。実は私も余りよく知りません。


そこで、検索してみたところ、基礎知識と関連ニュースをまとめたpageが日経のサイト内にありました。
特集 三位一体改革


このうち、(6/18)三位一体改革の要旨を引用します。

国と地方の税財政改革(三位一体改革)の要旨は次の通り。
1.三位一体の改革によって達成すべき「望ましい姿」
地方税を充実し、補助金依存を抑制。一般財源に占める地方税の割合を着実に引き上げ、地方交付税への依存を下げる。地方交付税の不交付団体(市町村)の割合を大幅に高める。地方財政プライマリーバランス(公債分を除いた歳入と歳出の収支)を黒字化し、地方財源不足を解消する。


2.三位一体改革の具体的な工程
(1)補助金の改革
 2006年度までに事務事業を徹底的に見直す。補助金は4兆円程度をメドに廃止・縮減。公共事業関係の補助金も改革する。


(2)地方交付税の改革
 地方交付税の財源保障機能を縮小するが、地域間の財政力格差の調整はなお必要。地方財政計画の歳出を見直し、地方交付税総額を抑える。4万人以上の人員の純減を目指すほか、地方単独の投資的経費を1990―91年度の水準を目安に抑制。地方単独の一般行政経費等は現在の水準以下に抑制。地方交付税の算定方法の簡素化も進める。


(3)税源移譲を含む税源配分の見直し
 税源移譲は基幹税の充実が基本。補助金の性格などを考え、補助金削減額の8割程度を目安に税源を移譲する。義務的な事業については徹底的に効率化したうえで、所要の全額を移譲。課税自主権も拡大する。諸施策をフォローアップしつつ、三位一体改革を強力に推進。2004年度予算の中で改革を着実に進める。


3.市町村合併の推進
改革の受け皿となる自治体の行財政基盤の強化が不可欠。2005年3月に向けて、市町村合併を引き続き強力に推進する。

要するに、地方への補助を削減・廃止する代わりに地方税を強化することで地方の自立性を高めることで、国と地方の財政状況を好転させようとする改革。


地方分権を進めようという改革なので、総論的には賛成意見が多いようですが、人口が少ない町や村などでは懸念も広がっています。勤労者が少なければ地方税収入も少なくなるからです。この点については、長野県の「泰阜村長のblog」の次の記事が参考になります。
三位一体改革の最大の問題は!


また、生活保護の国庫負担減に抵抗する動きも出ています。
(11/18)地方6団体、生活保護事務を一部返上へ・国庫負担下げなら(日経)

全国知事会全国市長会など地方6団体は18日、国と地方の税財政改革(三位一体改革)で焦点となっている生活保護費の国庫負担率を厚生労働省が引き下げた場合、来年4月から新規の受給者を対象にした生活保護事務を国に返上する方針を決め、川崎二郎厚労相あてに申し入れた。既存の受給世帯に対する事務は引き続き行う。

一般に、所得や財政の分配に関する施策は、誰かが損をせざるを得ないものです。万人が得をするWin-Winな改革など、まずあり得ません。総論的には優れた改革なのですから、地方の状況が大変なのは分かりますが、事務返上などと言わずに協力できないものかな、と思いました。


また、三位一体改革の意義については、次のpageも分かりやすくて参考になります。とりあえずリンクのみ。
地方分権と国会議員の改革のために必要な改革! 三位一体改革の基礎知識(All About)